大判例

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東京高等裁判所 昭和37年(う)384号 判決

被告人 柿畑務

〔抄 録〕

また、各自が殺意を有していたという点は、被告人については、原判示第一の場合に、原審相被告人久保が猟銃を発射するや、被告人は日本刀を振りかざして戸外に飛び出し、殴り込みに来た相手方を物色したこと、原判示第二の場合には、被告人は川口方において相手方に対し日本刀で切りつけただけではなく、同所で夢中になつて刀を振りまわして暴れたこと等の本件各犯行時における被告人の現実の行動だけからみても、相手方に対し殺意がなかつたとはいい難いし、また、その他の原審相被告人らについていえば、原判示第一の場合において、右久保は猟銃を発射し宮原尽忠に命中させ、原判示の如き傷害を与え、生涯片輪としたこと、原判示第二の場合においては、原審相被告人望月政康、右久保らは、明らかに相手方を狙つて銃を発射し、よつて原判示の如き各傷害を与えていることによつても、相手方に対し殺意があつたことを窺うに十分であるといわなければならないから、以上被告人らの所為を目して単なる相手方に対するいやがらせとか、おどかしの目的をもつてなされた行動に過ぎないと論ずることは許されないというべきである。けだし、猟銃や日本刀をもつて、いわゆる殴り込みをかけ、又は相手方の殴り込みにそなえ、争闘に及び、銃を発射し、日本刀を相手方に対しふるうときは、如何なる事態が発生するかわからないし、傷害の結果の発生についてはいうに及ばず、殺害の結果をも招来するであろうということは常識の示すところであるといわなければならないから、かかる場合においては、少くとも殺害の結果について未必の故意があるというに妨げないといわなければならないからである。

(三宅 東 井波)

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